社長の独り言
● 幻想の舞踏会


ここ数日来、眠りにつく束の間、また目覚めるまどろみのなか、華奢な足でワルツやマズルカのステップを踏む靴音が聞こえるような気がする。

 

425日より、多摩美術大学美術館で開催される「革命とファッション~亡命ロシア、美の血脈~」の展示品がパリから届いた。4つのジュラルミンボックスと2つの特大スーツケースが開けられ、100点に及ぶ衣装と数十点のバッグ、靴、帽子、アクセサリー類が美術館の地下のホールに並べられた。ロシア革命前後、貴族や豪商、あるいは白軍の指導者たちがロシアから持ち出したものや、彼らが亡命先で開いたメゾンで作られたものである。

 

自叙伝「最後の大公女マーリア」(日本語訳:平岡 緑 1984年出版)で、*マーリア大公女は兵士に見送られ、ルーマニアに逃れる列車の場面を最後に、ペンを置いている。自叙伝を書いたのは、亡命から約20数年後のニューヨークである。亡命後から、ミューヨークでペンを取るまでの20数年間の事は何も書かれていない。その間、どのような生活、仕事、人間関係を経てきたのかを、自叙伝に記すことは元大公女のプライドが許さなかったのであろうか。亡命後、マーリアがシャネルの支援の下、パリに作ったメゾンで制作したドレスも数点、展示品の中にある。精緻なビーズ刺繍ときらびやかなスパンコールのシルクのドレスに、元大公女の望郷の想いが縫いこまれているかのようである。

 

展示ドレスはアイロンがあてられ、ハンガーバーに吊るされて展覧会の開催を待っている。

かつて手を通したであろうドレスの主たちが、真夜中に舞踏会を催しているのかもしれない。美術館の地下ホールで、若い皇女たちが長いドレスの裾を翻し、楽しげに、軽やかにステップを踏んでいる姿が彷彿と浮かんできても不思議ではない。

 *アレクサンドルⅢ世の姪で、ロマノフ王朝最後の皇帝ニコライⅡ世の従姉妹

 

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● 桜海老 VS 白海老

昨年暮れ、富山県から2月開催の「ロシアとの観光・物流フォーラム」の講師を、というお話を承っていた。 「2月」―「富山」―「寒鰤」という単語が閃き、即座に快諾してしまった。

今年になり、資料を送っていただき、マズイなという思いが徐々に強くなりはじめた。北陸も、ウラジオストックも訪れたことがない旨をお伝えしたところ、ヨーロッパ側の情報が少ないので、モスクワのロシア人のことなどを話してくださいと、お返事をいただき、一安心。

それにしても、日本海側の状況には無知すぎるので、フォーラム前日、昼頃富山空港に着く。日曜日ということもあり、知り合いを通じて紹介していただいた税関で働いている方に、伏木富山港の案内をお願いした。ニュースで報道される中古車輸出の現場をはじめて目の当たりにし、日本人、ロシア人の間でパキスタン人の会社が、中古車ビジネスを活発に取り仕切っていた実情を、はじめて知った。 港は、ロシアの輸入税率が上がり、円高、世界不況の影響で、閑散としている。

十数年後、ウラジオストック、釜山、大連、青丹、長崎、富山、秋田、函館など日本海を巡る豪華客船が就航されていたらと、余所者は思わず老後の夢を描いてしまう。

フォーラムを通じ、立山連峰の麓でホテル経営をはじめたロシア人ご夫婦とも知り合いになった。彼らの勇気ある起業に、近いうち、モスクワのロシア人達を連れて訪れることを約束した。このブログを見た方も、機会があったら訪れてみてください。ホテルの名前は『森の雫』。最寄りのJR駅、富山空港への無料送迎も有りとのことです。

URL http://www.morino-shizuku.co.jp/

 

寒鰤も、解禁になったホタルイカも美味しかったけれど、富山湾でしか取れないという白海老の新鮮さ、甘さが忘れられない。実家のある駿河湾の桜海老と、どちらに軍配を上げるべきか、今でも悩んでいる。

 

 

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